アーケード街の危機

仙台のアーケード街で空き店舗が増えてきているという。
http://www.kahoku.co.jp/news/2008/09/20080921t12012.htm


一部は東京資本の不動産会社やファンドに土地を買われてその後の活用が決まっていないとのこと。
また、パルコなど他の新設大型小売店舗のテナントとして移転してしまった店もあるようだ。


昨年から顕著になってきたらしいが、まあ、私が仙台にいた一昨年も既にそういう傾向はあった。
基本的に、想定の範囲内の話。


アーケード街は、この10年近く、ゆっくりとしかし着実に通行量が減ってきている。
夜なんて、20時過ぎればもうシャッターを下ろす店舗が半分近くあり、歩いていても面白くもなんともない。それこそ一部のドラッグストアーと広瀬通交差点あたりのディズニーストア近辺くらいしかにぎあわない。


今までも空き店舗すら目立たなかったが、既に5年ほど前からゲームセンター、東京資本の喫茶店、ドラッグストアなどが増え、東京から視察に来る専門家から見ると、「終わってますね」あるいは「つまらない商店街ですね」と言われる状況だった。


恐らく、この傾向は続くだろう。
そして治安が悪くなっていく。
空き店舗にはパチンコ店やゲームセンター、ディスカウントショップなど多少賃料を安くすればどんどん入居してくれる「安易な」店舗が増えるだろう。
そしてそういう商店街をブランドショップや女性向け最先端ショップは敬遠し、新しい駅前の店舗に移っていく・・・
(一部のブランドショップが藤崎の周辺に集まっているが、これとてどこまで持ちこたえられるか。せいぜい賃料の値下げで踏みとどまってもらうくらいだろう)


一方、ストリートアーティストなどの活躍の場は増えるから、違った若者文化が現れるに違いない。


さて、起死回生策はないのか?

まずは、全体の危機感の共有化が必要だが、各商店街でバラバラだし、地権者も皆古い人たちが寄り集まって「仙台人のプライド」だけでショボショボ
やっているだけなので、世代交代をしないと無理だろう。

理屈の上では個々の商店街の個性を整理し、ディズニーランドのようにゾーニングをしっかり行い、例えば「原宿」「巣鴨」「銀座」「新宿」「仙台」「秋葉原」などの個性的な街をイメージした街づくりとテナントリーシングを行い、回遊性と休憩スポット・駐車場・駐輪場の整備や移動手段の多様化を図ることなどは必要だろう。

コンパクトシティを実現するためにも、外円部の戸建に残された高齢者が、市内の便利な場所へ引っ越せるよう(実際、雪かきや坂道などで、戸建の維持管理に音を上げる高齢者は多い)、下駄履きマンション(低層部が店舗で、高層部がマンションという建物)をアーケード街に作り、昔ながらの八百屋や魚屋、スーパーを入れ、地元民のための商店街を再構築することも面白いだろう。

一方で、観光客向けの「杜の都」を前面に押し出した商店街があっても面白い。この場合、東北大学や青葉通りのケヤキ並みなどと連携し、ループルや団体バスなどとタイアップした観光拠点としての商店街(高速道路のサービスエリアや道の駅のイメージ)というのは面白いと思う。
いろいろアイデアは浮かんでくる。
もちろんお金も必要だろう。


しかし、一番の問題は「オーナーたちのやる気」仙台市のやる気」

こればかりは外野がどうのこうの言ってもどうしようもない。
ある程度衰退して追い込まれないと分からない「ゆで蛙現象」(蛙が、水の入った鍋に入れられて火にかけられる。最初蛙は自分の置かれている状況がよくわからなくて、温度の変化も穏やかなため逃げ出そうともしないが、そのうちにゆであがって死んでしまうという話)の典型。


何とか、一致団結して再生して欲しいものであるが・・・